養育費とはどういうものですか

養育費とはどういうものですか。

 父母が離婚したり別居しているとき、同居親がから別居親に対して、子どもの生活費や教育費の分担を請求することができます。親は未成熟子に対して、扶養義務を負っていることが根拠ですが、同居親から別居親に対して、離婚後に監護する費用を請求する場合(民法766条)に、これを「養育費」と呼んでいます。離婚していない別居中は、同居親の収入が別居親の収入より低いときには、同居親は自分自身の生活費も子どもの分と一緒に含めて請求することができ、これを「婚姻費用」(民法760条)と呼んでいます。

養育費の具体的な金額はどうして決めるのでしょうか。

養育費の具体的な金額はどうして決めるのでしょうか。

 双方の収入、子の年齢、子の人数、住宅ローンの支払の有無などにより、決めています。家庭裁判所で行っている基本となる計算方法は複数ありますが、それをもとに家庭裁判所の裁判官が作成した標準算定表(家庭裁判所のサイトで公表されています。)をベースにして話し合うと便利ですので、広く利用されています。ただし、個々の家庭の様々な事情がありますので、あくまで標準算定表は1つの目安と考えた方がよく、これを超えて支払うことは、子どもにとっては望ましいことです。

私立の学費、歯の矯正費用、塾費用、など、かなり高額な出費もあります。こうした費用も請求できますか。

私立の学費、歯の矯正費用、塾費用、など、かなり高額な出費もあります。こうした費用も請求できますか。

 双方が同意して入学した私学や塾の費用は、収入で按分して負担する方法、収入差が大きいときは、多い方の親が全額を負担するなどの方法をとっています。別居親の同意を得ずに入学した学校の費用について別居親が拒否している場合でも、双方の学歴、収入などから家庭裁判所が負担を命ずる場合があります。

養育費はいつまで請求できますか。

養育費はいつまで請求できますか。

 子どもが成熟するまで、つまり自立して生活できるだけの仕事につき収入を得るまでです。18歳でも子どもが社会人になれば養育費の支払義務はなくなります。一方、20歳を超えた大学生の場合は、親の学歴、収入などにもより、必ずしも親に養育費の支払義務があるわけではありませんが、一般的には、22歳3月までは請求できる可能性が高いです。さらに大学院に進学した場合などは、父母間で分担を取り決めることは望ましいですが、養育費の支払義務があるとはいえません。子ども自身も相応の努力をする必要があります。  

取り決める文言の例はどのようなものが一般的ですか。

取り決める文言の例はどのようなものが一般的ですか。

 「○○は、○○に対し、子○○の養育費として、○年○月より○年○月まで、月額○円宛、○名義の口座(○銀行○支店普通預金番号○○)に送金して支払う」といったような文言を使っています。

離婚して3年になりますが、これまで全く請求してきませんでした。今から過去3年分も請求できますか。

離婚して3年になりますが、これまで全く請求してきませんでした。今から過去3年分も請求できますか。

 請求できますが、相手方の経済事情によっては、一気に多額を支払うことは困難であったり、あるいは、請求されないと安心してきていたので、いまさら過去の分は払えないとの返答が戻るかもしれません。
 双方の意見が食い違うと、家庭裁判所の審判では請求があったときから、とするのが一般的です。具体的には、調停申立時からという場合や、申立前でも、請求した文書やメールが残っていたら、その時からと決められる場合があります。

調停で取決めたのに、3か月前から支払ってくれなくなりました。メールで督促しても返事がありません。どうしたらいいでしょうか。

調停で取決めたのに、3か月前から支払ってくれなくなりました。メールで督促しても返事がありません。どうしたらいいでしょうか。

 何か支払えない事情が起きたようですね。まずは、相手方に尋ねて、督促してみてはいかがでしょうか。それでも、らちがあかないときは、調停調書があるならば、家庭裁判所に履行勧告や履行命令(従わないと10万円以下の過料)を申立てて、家庭裁判所から督促してもらう方法があります。判決、審判などで養育費が決められた場合も同じです。調停を実施した裁判所に電話をして、履行勧告をしてほしいことを求めたり、書面で申立てたりします。事情を聞き取り、相手方に督促したり、相手方の事情を調査したりしてくれます。費用は発生しません。ただし、強制執行ではありませんので、あくまで相手が支払わないといえば、それ以上強行に取り立てることはできません。
 なお、調査をしてみると、何らかの支払いが困難な事情が生じていることが少なくなく、減額の協議をして、支払いを安定させる必要がある場合もあります。

履行勧告や履行命令を経ても、支払われないままです。どうしたらよいでしょうか。

履行勧告や履行命令を経ても、支払われないままです。どうしたらよいでしょうか。

 最後の手段は、給与の差押えなどの強制執行です。地方裁判所に申立てます。
 強制執行をするには、債務名義という強制執行が認められる文書を持っていることが必要です。当事者間での合意書では強制執行はできません。公正証書の場合は可能です。 

相手から、会社がつぶれて転職したら給与が3分の2になったので、養育費を減らしてほしいと言ってきました。応じなければならないでしょうか。

相手から、会社がつぶれて転職したら給与が3分の2になったので、養育費を減らしてほしいと言ってきました。応じなければならないでしょうか。

 詳細な事情を聞き、あるいは本当であるかも資料も提供してもらい、真実であれば適切に減額した額を再度決めなおしましょう。安定して支払ってもらうことが大事です。

養育費の時効は何年ですか。

養育費の時効は何年ですか。

5年です(民法169条)。しかし、調停調書、審判、判決になっている場合は、10年間です。